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キャベツのルーツは地中海


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 アブラナ科の野菜類の歴史については全くの聞きかじりですが、日本人がこれほど沢山の種類の「菜っ葉」を食べるようになったのは実は明治以降のことのようです。結球レタスなども私たちが子供の頃にはこんなに普及していなかった。大根、カブのように地下に結球するアブラナ科と違い、地上に結球するアブラナ科「ザーサイ」に至っては漬物として日本に入ってきてから、お惣菜としてこんなに普及するとは誰も考えていなかった。花蕾(からい)を食べるブロッコリーなども、記憶に新しい野菜です。

 かくのごとく、アブラナ科の野菜はいろんな種類で私たちの食卓を豊かにしてくれます。でもなんといっても私たちの世代にとってのアブラナ科の代表は大根とキャベツでしょう。ところで、沢庵に代表される日本的メニューの付け合せ代表の大根と、とんかつの付け合せキャベツ食べ放題の全く違うイメージは、二つの野菜の歴史としっかり重なり合っていることを考えさせられることがあります。一方は日本的伝統漬物であり、一方はソースをかけて食べる実に素朴なサラダなのです。

 大正生まれ農家出身の母は、キャベツが日本人にとってそれ程歴史の長い野菜でないことを教えてくれました。その当時の母にとってはいわゆる外来野菜の認識だったのです。野菜の歴史とその料理メニューは、しっかり重なっています。私にとって外来野菜のおふくろの味は、「ロールキャベツ」でした。その後、この仕事を通してキャベツの発祥が地中海ヨーロッパであることを知り、料理文化とセットになった野菜の歴史を考えさせられました。

 あれから50年も過ぎた今、寒いお勝手で母と一緒に巻いたロールキャベツの味を何とか再現したいと念願しています。未だ私たちの料理は稚拙ですが、あの頃の寒いお勝手のぬくもりをお届けできればと無い知恵を絞っております。