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筍はアジアの健康食品


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 惣菜屋の溜息「筍の季節は、売れ行きが悪いなあ。」 40年も昔、実際に煮豆や煮物はその季節は売れなくなりました。静岡では、山で筍、海で鰹やシラス。自然の恵みの食べ物いっぱいで、春から初夏、そのころまで豊かな食生活があったなあ。なんて思い出します。

 この4月は深刻で、消費税で皆様の消費がどう変化するのか。皆、不安でいっぱいです。時代は大きく変わりました。
 私たちの役目も大きく変わりました。前回、中国出張のお話を書かせていただきましたが、私たちが加工している筍のほとんど全ては、中国の福建省と浙江省が産地です。3月20日過ぎから収穫が始まり、そろそろ収穫も終盤に入ろうとしています。地元の農家さんの副収入になる筍収穫ですが、とれたての筍を連日工場に運んで下さり、その場で茹で、皮むきして、18リッター缶に缶詰、殺菌して長期保存されます。

 今年はスタートから地元農家の皆さんが集めてくる筍の相場が良すぎて、加工業者にしますと原価圧迫を受ける心配から受け入れ数量を控えめにして、加工数量も抑えてしまいました。そのせいで最終的には昨年比15~20パーセントの減産になりそうです。中国の皆さんのおかげで、安い野菜と勘違いされるほどだった筍水煮も、これからはその位置づけが大きく変わろうとしています。筍缶詰の相場は、この5年で2倍に跳ね上がりました。

 思えばなぜ中国にこの仕事が行ってしまったか。日本全国に生えている孟宗竹。筍の季節には全国の沢沿いの山あいで、農家の皆さんが掘ってきた筍を缶詰に加工する工場は40年程前には、沢山日本にもあったのです。九州や四国は最後まで残りました。しかし、あの筍収穫の過酷で、短期間の集中労働は、賃金ベースの上昇とともに不人気を囲うこととなり、九州、四国の筍缶詰工場は、なかなか原料が集まらない状況となり、30年ほど前に急激に生産量が減少しました。

 そこで脚光を浴びたのが、浙江省、福建省に自生する、孟宗竹林だったのです。それまでは、竹は建築材や、細工の材料だったものが、日本向け輸出食品の原料として生まれ変わり、ほぼ30年花形輸出産業として、豊かな地域づくりに貢献したのです。でも、いよいよ中国も豊かさのレベルが上がりました。日本で起こったことが再現されないことを願うのみです。いま、事業継続に向けた我々を含む関係者の努力が必要とされています。

 モンスーン温帯域のここでしか生えない孟宗竹。日本人がこよなく愛する「たけのこ」を料理として供給し続けられるようたゆまぬ努力を続けます。