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創業125周年記念 ヤマザキの歴史【第十一章 仕事と人生は矛盾しない】


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 始めた惣菜の仕事が何年も赤字。そんな中で、ときどき私を勇気づけてくれたのは「商業界」「食品商業」といった一連の商業界から出版されている月刊誌だった。結果の出ない事業に対して、自分で自分を奮い起こさないとしぼんでしまいそうだったから、エネルギーをもらいたくてよく読んだ。

 ある日「寛治。商業界の雑誌にはいい事が書いてある。俺は箱根のセミナーに行ってみることにしたよ。」突然、父がそう言いだした。これには驚いた。何と父が私の読んでいる商業界の月刊誌を盗み読みしていたのだ。その当時、毎年一月、商業会主催のセミナーが箱根小涌園で開かれ、流通革命の熱意に燃える人たちが集い勉強していた。

 自分も人生の大転換の出来事だった。お坊ちゃん育ちだと思い込んでいた父がこの一大困難の最中、惣菜事業の先行きをもう一度考え直してみたいというのだ。自分も反省しなければと思いました。しかし、朝から晩まで休みなく働き続ける毎日でとてもそんなゆとりはない。

 そしてお正月が過ぎ、新年のセミナーから帰った父の口から出た言葉「寛治。仕事は人生と矛盾しないということが分かった。」と言い切ったのです。「この人たちはいい人たちだ。目的意識、使命感をはっきりと持っていなければ、人生はさびしいものだ。」すぐに、知り合った先生の所へ勉強に行かないかと私を名古屋へ連れて行った。

 そこでつくづく感じたことは自分の無力さだった。父の純粋さに対する劣等意識も強かった。もっと勉強しなければならない。名古屋での先生のご指摘は誠に厳しかった。自分のことも深く考えていない、ましてや、仲間のこと、社会のこと、私たちが果たさなければならない役割・使命のこと、さらには将来の展望、全く考えていないと痛感した。この挫折感は強烈だった。

 「惣菜を事業にしようと志すのであれば、私自身がもっと自分を磨かなければならない。」


・・・次章へつづく。